これね、この本ね、齋藤飛鳥ちゃんから教えてもらったんですよ。
教えてもらったといっても、もちろん直接ではないですよ。このサイトのインタビュー記事からのご紹介です。
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本讀乙女 乃木坂46 齋藤飛鳥
まさか今どき飛鳥ちゃんを知らないなどというアホンダラはいらっしゃらないかとは存じますが、改めてそのエピソードなどを挙げますと。
- 15thシングル〈裸足でSummer〉でセンターに
- チャイティーヨ
- 人間の汚い部分とか悪い部分が出ているドロドロ系の本が好き
- お母さんがミャンマーの出身
- 初めて栓抜きを使ったのは乃木坂工事中の番組内
- 現NMBのレモンさんと世界1, 2を争う小顔
モデルプレス - 乃木坂46齋藤飛鳥、顔が小さすぎて見えなくなる「マスクが大きいのか、顔が小さすぎるのか」
とまあ、紹介者である飛鳥ちゃんのことは、ここではいいんですよ。
『微笑む人』ストーリー
エリート銀行員の仁藤俊実が、意外な理由で妻子を殺害、逮捕・拘留された安治川事件。
犯人の仁藤は世間を騒がせ、ワイドショーでも連日報道された。
この事件に興味をもった小説家の「私」は、ノンフィクションとしてまとめるべく関係者の取材を始める。
周辺の人物は一様に「仁藤はいい人」と語るが、一方で冷酷な一面もあるようだ。
さらに、仁藤の元同僚、大学の同級生らが不審な死を遂げていることが判明し……。
仁藤は本当に殺人を犯しているのか、そしてその理由とは!?
貫井氏が「ぼくのミステリーの最高到達点」と語る傑作。
読者を待つのは、予想しえない戦慄のラスト。
─Amazonの内容紹介
と、こんなお話です。
なんでもカテゴライズしたがるという人間の習性からみて、一見まごうこと無くミステリーという文学ジャンル。
『微笑む人』に対する世間の評価
しかし『ミステリー』という、答えのはっきりした謎解きで構成されているはずの小説にしては、
「モヤモヤ」「釈然としない」「スッキリしない」「尻切れトンボ」「中途半端」
と、こんな感じ。
私は、本に限らず映画なんかでも、いつもネタバレ上等で作品に触れる前にまず内容を検索したり詮索したりすることが多いです。
理解がしやすく洞察が深くなるという理由で。
なのでこの小説も例に漏れず、上にあるような「モヤモヤ」「釈然としない」「スッキリしない」「尻切れトンボ」「中途半端」という世間の感想を先に読んでいました。
やっぱり読んでおいてよかった。心構えが違う。
そもそも粗い筋、略してあらすじを知っていると、登場人物も覚えやすいし、結末に至るまで途中にいやらしく仕掛けられた伏線にも気がつきやすい。
結末をひっくり返されて「いやあ騙されたわー」などと喜ぶ性癖は持ち合わせておりませんのです。
ストーリー展開そのものより経過の描写の方がずっと楽しいもの。
読者がミステリーという文学作品に求めるもの
人生だの人間だの運命だの罪だのをテーマに、答えのはっきりしないものを問いかけてそれを考えたり感じたりするのが文学だとすれば、ミステリーってちょっと対極にあるんだよな。
わからない謎が難問が徐々に解き明かされて、最後に解決してスッキリ、というようなのが型だと思うから。
だからミステリー文学というジャンルにはっきりしたファンが存在するのは、そういう明確な結末を求めている人たちがいるということ。
その型をあえて裏切るという作品もあるけれど、『微笑む人』って作品は、私にはそういうのともまた違うような感じがしましたのです。
『微笑む人』に対する自分の見方
ラストのあたりに、作者の貫井さんの言いたかった結論がはっきり書かれていると思ったんですけど。
人はわかりやすいストーリーを聞いて安心する、とショウコは言った。複雑な背景を単純化して、わかったつもりになる。私のこの解釈もまた、自分が納得できるように事態を単純化しただけではないのか。本来はとても他人には理解できない部分を切り捨てることによって、すっきりした気分になっているだけではないか。
ここに至るまでの仁藤が起こした事件そのものは、あくまでも主題ではない。だから結末は必要ない。
仁藤の起こした事件の、本当の動機はなんなのか。妻と子を殺害した以前に周囲で起きていた件に関わっていたのか。それらの答えは必要なかったんです。
主題はあくまで、
周囲の人それぞれの立場や関わりからみたら、物事はまったく違って見える。ましてや人間みたいな複雑なものはなおさら。
ってことじゃないかな。
も少し深く書くと、「だから他人のやらかしに対して、お前らが主観的な立場で見方で物言ったところで大抵は見当ハズレなんだから黙ってろ」という感じ。
ちなみに以前、やはり飛鳥ちゃんの紹介で貫井さんの『乱反射』も読んだんですけど。
こちらは、幼児が事故で亡くなったのは、自分は正しいと思い込んでいる人々の小さなルール違反の積み重なりによって引き起こされたという話。
この乱反射も今回の微笑む人も、正義面した人間(読者)たちの汚れた部分を見せつけられるような読後感でしたねえ。
まあ私のこの解釈もまた、貫井さんの思惑からはまったくの大外しで、自分が納得できるように事態を単純化しただけかもしれないけどな。
ビジネス書ばかり読んでると、堅い文章しか書けなくなりますよ。フレンドリーでアットホームな感じを出すために、小説でストーリーの運び方を学びましょう。


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