フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか
昭和の終わりに15.3%だった、この国の非正規雇用労働者は2015年には37.5%に。女性に至っては4割を越えているとか。
ただ『雇用』というもの自体が、産業革命の工業化による労働者の必要から生じたものなので、たかだか200年弱の間の常識でしかないんですよね。
だから個人で商いをするという、それ以前の働き方に戻るってだけの話なんですよね。理屈でいうと。
『フリーエージェント社会の到来』は、ゴア副大統領の首席スピーチライターだったダニエル・H・ピンクが、ホワイトハウス内でストレスからゲボを吐き、その後国勢調査局からフリーエージェントに関する調査をさせて欲しい旨申し込んだが振られ、仕方ないので自分で1年間にわたり全米を旅して周りヒアリング調査をしてまとめた論述。
これを札幌市中央図書館で借りてきて、寝室の薄明かりの中で読みました。
日本語でフリーエージェント〈FA〉というと野球の自由契約を連想しますが、まああれと同じです。あれが一般のビジネスの社会にも浸透しているというお話です。
20世紀の米国は『オーガニゼーション・マン』という組織人間が規範とされていたが、IT機器の発達・発展もあって、21世紀以降の現代では組織に距離を置いた『フリーエージェント』の占める割合が大きくなるという。リスクを取って自由を得よう、ということですね。
なんというか昨日あたりにもこの手の話書いた気がするし、どこでも語られてるかと思うので自分は全然違うとこに注目してみます。
第7章んとこに、『人と人との新しい結びつき』というタイトルで、フリーエージェントの孤独とその解決法が書かれている。要は似たもの同士群れようということなんですが、孤独の解消・悩み相談・仕事の紹介・集合の力・ヤル気うpなど多様な効果があるようです。
この記事の目次 - Contents -
1. フリーエージェント連合
必要なときにそれぞれの専門が集まってチームを作る
地球に危機が迫ると、いろいろな能力をもったヒーローたちが集結して一致団結して闘う。そして使命を果たした後は、それぞれの仕事に帰っていくんだ。
2. 起業家ネットワーク
利他主義的な発想で集まった参加者たちがお互いにアドバイスやアイデアを交換する場
お金を払わないで30人もの人に会社の宣伝をしてもらえる場所が他にどこにある?お礼は、同じことをしてあげればいいだけ。
3. 同窓会グループ
確かに強力な企業の卒業生が組むとおもしろいことになりそう
『会社の大学化』とでも呼ぶべき現象が起きているのだ。会社は知識を得る場所であり、立派な経歴を手にし、人脈をつくる場になっている。
こうしたヨコの繋がりが増えるとありがたい。タテはもういいです。日本の村的な先輩後輩だの上司部下だのもういいです。
この本、実は10年以上前の本なんですけど、日本で読むには今くらいがちょうどいいかもしれません。


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